
事業主にとって、ホームページは単なる情報発信の場ではなく、信頼を構築し顧客を獲得するための重要なツールです。本記事では、訪問者に「もっと見たい」と思わせ、最終的に問い合わせや購入に繋げるためのホームページ制作のポイントを解説します。訪問者の行動心理に基づいた設計方法、コンテンツの充実度の重要性、そして即効性のある具体的な施策まで、すぐに実践できる内容をお届けします。
目次
- 開業したばかりの個人事業主が直面する新規顧客獲得の課題
- なぜページ閲覧数が重要なのか
- 効果的なトップページの作り方
- カスタマージャーニーを意識したコンテンツ戦略
- 事例・実績の重要性
- ウェブサイトの理想的なページ数
- すぐに始められる回遊率向上のテクニック
- ホームページ制作の実践ステップ
開業したばかりの個人事業主が直面する新規顧客獲得の課題
開業したばかりの個人事業主の皆さん、おめでとうございます!新たな一歩を踏み出した今、最も頭を悩ませているのは「どうすれば新しいお客様が獲得できるか」ではないでしょうか。
実績もまだ少なく、知名度もこれからという状況で、特にウェブ上での集客のしくみの構築は大きな課題です。検索エンジンで上位に表示することで見つけてもらい、さらに訪問者はあなたのホームページの情報を見て「この会社は依頼しても大丈夫か? 信頼できる会社なのか?」を判断します。
この壁を乗り越えるためには、ホームページの設計と内容が極めて重要になります。多くの方は「見栄えのいいホームページを作れば問い合わせが来る」と思いがちですが、実際はそれだけでは不十分なのです。
なぜページ閲覧数が重要なのか
ホームページ制作において、あまり知られていない重要な事実があります。それは「訪問者がより多くのページを閲覧するほど、問い合わせや購入に繋がる確率が高まる」ということです。
Google Analyticsという、サイトのアクセス状況を分析するツールによると、一般的なウェブサイト訪問者は平均して3〜5ページ程度しか見ません。しかし、実際に問い合わせをしたり購入に至ったりする「コンバージョン」を達成した訪問者は、平均して20〜30ページも閲覧しているのです。
つまり、訪問者に「もっと見たい」と思わせ、複数のページを閲覧してもらうことが、信頼構築の第一歩となります。単に情報を詰め込んだホームページを作るのではなく、訪問者の興味を引き、次々とページをめくってもらえるような設計が必要なのです。
「こんなに長々と記事を書いても誰が読むのか?」「情報は簡潔にして、パッと見るだけで分かるようにした方がよいのではないのか?」と考えられていますが、それは広告の場合の考え方であって、ホームページは広告を見たあとに、じっくり読んで情報を収集してもらうための「情報の塊」であるべきなのです。このため、ページ数が多く、質の高い情報がたくさんあるサイトを作ることが肝心です。
効果的なトップページの作り方
トップページは訪問者が最初に目にするページであり、「さらに見てみようか」という決断を促す重要な役割を担っています。雑誌や書籍でいうところの「目次」に相当するもので、なるべく短時間でどんな情報が載っているのかを見てもらい、次に行くページを決めてもらうことが肝心な役割です。効果的なトップページのポイントは以下の通りです。
1. ファーストビューの重要性
訪問者は最初の3秒でページを続けて見るかどうかを判断します。ファーストビュー(画面を開いた時に最初に表示される部分)には、情報を詰め込みすぎず、インパクトのあるメッセージを一行で伝えましょう。
例えば、住宅設備の修理業であれば「給湯器の修理今日来ます!」というシンプルなメッセージが効果的です。これは訪問者の切実なニーズに直接応えるものであり、「え、今日直るの? すごーい!この会社のことをもっと知りたい」という気持ちを喚起します。
2. 縦長のスクロールデザイン
トップページは目次のような役割を果たすべきです。上から下まで長くスクロールする設計にし、各セクションごとに「会社の特徴」「サービス内容」「事例紹介」「会社概要」などの情報を配置しましょう。
訪問者は自分の知りたい情報を探してスクロールし、興味を持った項目があればその詳細ページへとクリックして進みます。こうすることで自然と複数のページを閲覧してもらえるようになります。
3. 視覚的な誘導
写真やイメージは強力な誘導要素となります。特に実績や事例の写真を適切に配置することで、「もっと詳しく見たい」という欲求を刺激できます。各セクションごとに関連する魅力的なビジュアルを取り入れましょう。
カスタマージャーニーを意識したコンテンツ戦略
効果的なホームページを作るためには、お客様の立場になって「どのような状況でホームページを訪れるのか」を理解することが大切です。これを「カスタマージャーニー」と呼びます。
例えば、給湯器修理のケースを考えてみましょう。
- 問題発生: 朝シャワーを浴びようとしたら、お湯が出ない
- 緊急性の認識: 寒い季節で冷水では困る、今日中に何とかしたい
- 解決策の模索: スマホで「給湯器 修理 緊急」などと検索
- 比較検討: いくつかのホームページを開いて比較
- 決断: 「今日来ます」と明記している会社に電話
このようなお客様の行動と心理を理解し、それに合わせたコンテンツを用意することが重要です。緊急性の高いサービスなら即日対応をアピールし、じっくり検討されるサービスなら詳細な情報と豊富な事例を提供するなど、業種によって強調すべきポイントは異なります。
事例・実績の重要性
信頼構築において、過去の事例や実績の紹介は非常に効果的です。特に開業したばかりの場合、実績が少ないと感じるかもしれませんが、小さなものでも積極的に紹介することが大切です。
ある造園業者の事例では、8,000ページものウェブサイトを構築し、そのうち9割以上が施工事例でした。まさに「デジタルアルバム」のような充実した内容により、競合他社がチラシを配布しても、顧客はこの会社のホームページに戻ってきて問い合わせをするという状況を作り出しました。
こうした豊富な事例紹介は、単に情報量が多いだけでなく、「ザイオンス効果」という心理効果も生み出します。これは、何度も目にするものに対して親近感や信頼感が生まれるという心理効果です。この造園業者のサイトには、何千ページもの写真が載っている事例情報があり、訪問者は一度では見切れません。お庭をどうするかということに関心が向いている家を建てたばかりの奥様が、何度もホームページを訪れ、様々な事例を閲覧することになります。すると、自然とあなたの会社に対する信頼が育まれていくのです。
ウェブサイトの理想的なページ数
「どれくらいのページ数が必要なのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。Google Analyticsで私どものお客様のデータを調べた結果、問い合わせに至る訪問者は平均30ページほど閲覧しています。つまり、少なくとも30ページ以上の充実したコンテンツを提供できることが理想的です。
しかし、開業したばかりの段階でそれだけのコンテンツを用意するのは大変です。そこで、以下のアプローチがおすすめです:
- 段階的な構築: まずは必要最低限の5〜10ページからスタートし、徐々に増やしていく
- 目標設定: 長期的にはまず100ページを目指す。100ページの次は、300ページ、1000ページと増やしていく。
- コンテンツの種類を多様化: サービス説明、事例紹介、お客様の声、よくある質問、ブログ記事など。特に、事例紹介はお勧め。納品の度に事例としてアップでき、ネタに困らない。
特に重要なのは、単にページ数を増やすことではなく、訪問者にとって価値のあるコンテンツを提供することです。一つ一つの事例を丁寧に説明したり、お客様の声を詳細に紹介したりすることです。特に、事例の紹介は、これから購入しようとしている方の気持ちにぴったり寄り添う情報になります。「僕の課題の解決は、この会社できるのか?」という疑問を解消することができます。
すぐに始められる回遊率向上のテクニック
訪問者により多くのページを閲覧してもらうための「回遊率向上」テクニックをいくつか紹介します。
1. 関連コンテンツの提示
各ページの下部に「関連サービス」「類似事例」などのリンクを設置し、訪問者が自然に次のページへ進めるようにします。
2. フッターの活用
ページ下部のフッター部分には、単に会社情報だけでなく、主要なページへのリンクも含めましょう。訪問者がページの最下部まで読み進めた際に、次に閲覧するページへのアクセスを容易にします。
3. カテゴリナビゲーションの明確化
サービスや事例を明確なカテゴリに分類し、訪問者が自分の興味のある情報に簡単にアクセスできるようにします。
4. CTAボタンの設置
「詳しく見る」「事例を見る」などのボタンを適切に配置し、次のアクションを促します。
これらのテクニックは、ホームページ制作においては、比較的簡単に実装できるもので、高度なスキルは要りません。既存のホームページがある場合は、これらのポイントを見直し、改善していきましょう。
ホームページ制作の実践ステップ
以上の内容を踏まえて、開業したばかりの個人事業主が実践すべきホームページ制作のステップをまとめます。
1. 計画段階
- お客様のニーズと行動パターン(カスタマージャーニー)を分析
- 自社の強みや専門性を明確化
- 掲載すべきコンテンツの種類と優先順位を決定
2. トップページの設計
- インパクトのあるキャッチコピーとビジュアルでファーストビューを作成
- 縦長スクロールで各セクションを明確に区分
- 視覚的に魅力的で次のページへの興味を引くデザイン
3. コンテンツの充実
- サービス内容の詳細な説明
- 事例・実績の丁寧な紹介(写真や具体的な成果を含む)
- お客様の声や体験談の掲載
- よくある質問とその回答
4. 回遊率向上の仕組み作り
- 関連コンテンツへのリンク設置
- フッターナビゲーションの充実
- CTAボタンの適切な配置
5. 継続的な改善
- アクセス解析ツールで訪問者の行動を分析
- 新しい事例や実績を追加
- ブログなどでの定期的な情報発信
まとめ
開業したばかりの個人事業主にとって、新しいお客様からの問い合わせや来店につながるホームページ制作は非常に重要です。単に情報を掲載するだけでなく、訪問者に「もっと見たい」と思わせ、複数のページを閲覧してもらうことが、信頼度を高め、新しいお客様を増やす鍵となります。
トップページの効果的な設計、カスタマージャーニーを意識したコンテンツ戦略、豊富な事例紹介、そして回遊率向上のテクニックを取り入れることで、訪問者の信頼を獲得し、問い合わせや購入につなげることができます。
理想的なページ数(100ページ程度)を一度に達成する必要はありません。まずは必要最低限である5ページ程度で公開しましょう。その後、徐々にコンテンツを充実させていくことが大切です。一つ一つのページを丁寧に作成し、訪問者にとって価値のある情報を提供することを心がけましょう。
ホームページは作って終わりではなく、継続的に改善していくものです。お客様の反応や行動を分析しながら、より効果的なウェブサイトへと育てていきましょう。信頼構築への一歩が、あなたのビジネスの成功につながります。